ホルモンを分泌して人生をイージーモードに
筋トレや有酸素運動などを行うと分泌されるホルモンは、人生を豊かにする効果をいくつももたらします。

https://www.mext.go.jp/sports/content/1413747_001_1.pdf
このグラフは平成30年度『スポーツの実施状況等に関する世論調査』です。
週3回以上の運動を行っている成人はたったの27.8%です。
つまり多くの人が筋トレや有酸素運動によって活性化されるホルモンの効果を得られていないということになります。
ですから、筋トレや有酸素運動をしていない人の人生を通常モードであると仮定するならば、週3回以上の筋トレや有酸素運動を実施している人の人生はイージーモードであると言えるのです。
ホルモンの種類と効果
ホルモンは体内で分泌され、体の機能を調整したり精神面にをコントロールすることに役立っています。
その数は現在分かっているだけでも100種類以上です。
ホルモンの分泌は加齢と共に減少していくというのは有名ですが、最近ではストレスなどによってもホルモンが減少すると言われており、身体的、精神的にさらに悪い方向へと悪循環を繰り返してしまいます。
そのため、『ホルモン注射』などのホルモンの補完治療なんてものも流行ってきています。
その中には筋トレや有酸素運動で活性化することのできるホルモンも含まれています。
今回は筋トレや有酸素運動で活性化できる代表的なホルモンの効果と効率よく活性化させる方法についても紹介します。
成長ホルモン

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成長ホルモンはその名の通り『身長』に影響を与えるホルモンです。
運動する方が身長が伸びると考えられる要因の一つです。
「すでに身長が止まっているから関係がない。」というのは大間違いです。
成長ホルモンは『代謝』にも影響を与えます。
代謝とは体内の物質をエネルギーに変換することであり、つまりは脂肪を燃焼する効果があるということです。
運動を日常的に行っている方が代謝がいいのには成長ホルモンの量が関係しています。
さらに、成長ホルモンは加齢と共に減少していくことでも有名です。
このことが歳を重ねるごとに代謝が悪くなり、いわゆる〝痩せにくい体″になってしまう原因です。
成長ホルモンを効率よく活性化させる方法としては、ネガティブ動作や持久系などのゆっくりじっくり筋肉に負荷を与えるようなスロートレーニングがよいとされています。
テストステロン

Elias Sch.によるPixabayからの画像
男性ホルモンの一種でありメインとなるホルモンです。
その効果は複数あります。
その1つが男性としての生殖機能の維持です。そのため、テストステロンの不足はED(勃起不全)や性欲の低下などにもつながります。
テストステロンの値は20代をピークに衰え始めるため、加齢とともに男性機能が低下するのもテストステロンが関係してると考えられます。
他にも筋肉の合成、つまりは筋肥大にも効果を発揮します。
男性の方が女性よりも筋肉が発達しやすいのはテストステロンの数値が女性より高いことが1つの要因です。
テストステロンは集中力や自信の向上などといった精神面への影響も与えます。
「筋トレをすると集中力が高まる。自信がみなぎる。」と言われるのもテストステロンのおかげです。
男性ホルモンと聞いて、「男性ホルモンの増加が薄毛(ハゲ)の原因になってしまうのではないか。」と懸念する人もいるかもしれません。
しかし、テストステロン自体は直接『薄毛』の原因にはならないと考えられています。
20代のテストステロンが一番分泌されている時期に薄毛になる人が少ないことからも、ある程度の信憑性があります。
女性の場合も男性の5~10%と少ない割合ではありますが、テストステロンを分泌させ、筋肉や精神面に良い影響を与えることは可能です。
テストステロンを効率的に活性化させる方法としては、筋トレや十分な睡眠が有効だとされています。
筋トレでは、特に大筋群(胸、背中、太ももなどの大きな筋肉)を高重量で行うことでテストステロンが活性化されます。
スロートレーニングやウォーキングでもテストステロンの値が上昇するというデータがあります。
長時間の筋トレや激しい有酸素運動などは逆にテストステロンの値を減少させてしまう恐れがあります。
セロトニン
『幸せホルモン』と言われるほど精神状態に大きな影響を与えるホルモンです。
※厳密には脳の神経伝達物質であり、ホルモンではないとされることもあります。
感情のコントロール、精神の安定、平常心を保つなどの役割を担っており、強いメンタルを作り出します。
そのため、セロトニンの値が高いと日常にストレスを感じにくくなり、幸せを感じやすくなることから『幸せホルモン』と言われています。
他にも体温調整などの多岐にわたる体の機能にも関係していると考えられています。
後に紹介する『ドーパミン』の過剰分泌を抑える役割も担っています。
セロトニンが不足ししまうと、精神の崩壊に直結してしまう恐れがあります。
ストレス障害、うつ病、睡眠障害などです。
「精神状態を意志の力で保つことが出来る。」と考える人も多いと思いますが、実際にホルモンバランスの乱れは精神状態を悪化させますし、そもそもの『意志』を強く保つことが困難になる恐れがあります。
セロトニンを活性化させるのに有効な方法はいくつか挙げられます。
1つ目は比較的単調な運動やリズム運動などを反復して行う方法です。
水泳や軽めのランニング、咀嚼運動などが有効的です。
2つ目は太陽光です。
起床した際に数分間日光に当たることでセロトニンが活性化されることがわかっています。
3つ目はトリプトファンの摂取です。
トリプトファンはセロトニンの分泌に欠かせない栄養素です。
トリプトファンを含む食品は一部魚類、乳製品、大豆、ナッツ類などが有名です。
ついでにトリプトファンからセロトニンを分泌するのを促すビタミンB6、炭水化物の摂取も重要です。
ドーパミン

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『やる気の源』とされるほど意欲に働きかけるホルモンです。
加えて幸福感を我々に与えてくれます。
先ほど紹介したセロトニンに似た効果を複数持ち、意欲の向上はもちろんの事、集中力や記憶力、精神状態への影響も確認されており、ポジティブな思考を得られます。
気を付けなければならない点は、ドーパミンが『脳内麻薬』と言われる所以にあります。
ドーパミンは幸福感を与えることから脳内麻薬の一種とされていますが、過度な飲酒、喫煙、ギャンブルなどによって大量のドーパミンが分泌されることによって中毒症状に陥ることがあります。
過剰分泌には注意が必要なホルモンです。
過剰分泌には気を付けたうえで、適度にドーパミンを増やす方法を紹介しておきます。
筋トレにおいては、目標を掲げ全力で達成するということです。
ドーパミンにおいて重要なことは「どういったトレーニング方法が良い。」というよりも、目標(セット数や重量)を全力で達成しようとする過程にあります。
達成感を味わうために運動するのが良いでしょう。
そういった意味で言うとハイキングなどの達成感がある運動もいいかもしれません。
好きな音楽をかけて、好みのシチュエーションで運動するとさらに良いかと思います。
ノルアドレナリンとアドレナリン

David MarkによるPixabayからの画像
感情が高ぶったり、激しい運動を行った際に交感神経を高めるホルモンです。
※厳密には『ノルアドレナリン』は神経伝達物質であり、ホルモンに変換されたものが『アドレナリン』とされています。
ノルアドレナリンとアドレナリンは別物であるとされているが、名称が似ていることからもわかるように、肉体や精神に与える影響はかなり似ています。
両者ともに交感神経を活発化させ、心拍数が上がったり、血圧が上がったりします。
つまり脳や体を『興奮状態』にします。
興奮状態にあるとき痛みを感じなかったり手が震えたりした経験がある方も多いと思いと思います。
まさにこのノルアドレナリンとアドレナリンが作用していると言えます。
ノルアドレナリンやアドレナリンの過剰分泌が続くと高血圧になる恐れがありまっす。
逆に不足してしまうと、やる気や集中力の低下、特に『パニック障害』などの恐れがあると言われています。
ノルアドレナリンやアドレナリンを効率的に分泌するためには適度な緊張感を持つことが重要です。
例えばスポーツの試合の前などに過度な緊張でホルモンが分泌されすぎるとパフォーマンスに悪い影響を与えてしまいますが、適度な緊張は逆にパフォーマンスを向上させるというデータもあります。
筋トレでもその日ごとの重量の目標などを決めて適度な緊張感で挑戦することで適度にノルアドレナリンとアドレナリンを分泌できると思われます。
エンドルフィン

Avi ChomotovskiによるPixabayからの画像
セロトニンと同様に『幸せホルモン』と評されることもあり、ドーパミンと同様に『脳内麻薬』とも言われるホルモンです。
記憶力、注意力、免疫力を向上させる効果や、ストレスの解消、鎮痛効果までもが確認されているホルモンです。
エンドルフィンが引き起こす現象として『ランナーズハイ』が有名です。
長時間の走行で限界に達したとき、逆に高揚感のようなものにみまわれて楽しくなってくるといった現象です。
エンドルフィンが幸せホルモンと言われる要因の一つでしょう。
エンドルフィンの不足はやはり幸せとは逆の作用をもたらします。
『うつ、ストレス、不安』といった症状です。
エンドルフィンを効率的に分泌するためには、ランナーズハイと言われているように長時間の肉体的、もしくは精神的につらい運動を行う方がよさそうです。
しかし長時間の筋トレなどは他のホルモン分泌との相性があまりよくないため、他にエンドルフィンを活性化させる方法を考えたほうがよさそうです。
1つは入浴です。
しっかりと毎日湯船につかるほうがエンドルフィンの分泌は促進されるようです。
もう1つは食事です。
好みの食事を食べているときの幸せを感じる瞬間や、もしくは辛い物を食べて逆につらい思いをしているときなどにもエンドルフィンが活性化するようです。
まとめ
筋トレや運動によって分泌される代表的なホルモンを紹介しました。
それぞれのホルモンで、特に効果を発揮する分野に違いはありますが似たような作用もたくさん見られました。
その中でキーワードとしてよく表れたのはまず『集中力』です。
筋トレや運動によって分泌されるホルモンはかなり集中力に優位に働くようです。
実際に私も筋トレを始めて集中力が増したという実感はかなりあります。
他にも、『やる気』『自信』『幸福感』といった精神状態に関する効果も複数見られました。
どのホルモンも不足してしまうと『うつ病』や『ストレス』などの精神状態に異常をきたしてしまうということがわかると思います。
ホルモンバランスの乱れがよくないということですね。
一部過剰分泌に注意が必要なホルモンも存在しますが、冒頭の円グラフからもわかるように多くの人が日常的に運動不足、つまりはホルモンが不足でホルモンバランスが乱れているということです。
ホルモンの大切さを見直して、日常に筋トレや運動を取り入れる人が増えればいいと思います。
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